今は確定申告シーズンですが、皆さん確定申告していますか?
2024年の利益は少なかったですが、私はもう確定申告を終えました。
皆さんの中には確定申告の際ふるさと納税の申告もやっている方も多いと思います。
そこで今回はこれまでの趣向を変えて、FXで利益が出た場合、いくらふるさと納税の限度額が増えるのかを解説したいと思います。
ふるさと納税とは
いまさら説明する必要もないと思いますが、制度の概要や計算式が不要な方はまとめを直接ご覧ください。
ふるさと納税とは、納税者が応援したい自治体を選んで寄附を行う制度です。寄附先の自治体からは地域の特産品などのお礼の品が贈られることが多く、個人的な予想ではこの返礼品を目当てに寄附する方がほとんどだと思います。
返礼品の原価は寄附額の30%以下と定められています。
例えば、1万円の寄附に対して、3,000円相当以下の返礼品が提供されることになります。返礼品は各自治体の特産品や地場産品が中心です。
ふるさと納税を行うと、寄附金額から自己負担の2,000円を差し引いた金額が、所得税および住民税から控除されます。控除を受けるためには、原則確定申告が必要ですが、給与所得者で寄附先が5自治体以内の場合、「ワンストップ特例制度」を利用することで、確定申告をせずに控除を受けることも可能です。ただし、控除額には上限があり、年収や家族構成などにより異なります。上限を超える寄附を行った場合、超過分は控除の対象外となります。
ふるさと納税の控除限度額
ふるさと納税の控除限度額については、総務省のサイトに詳しい記載があるのそれをベースに説明します。以下がふるさと納税の控除上限額の構成です。

※上記表は給与所得がある人を前提に作成しています。所得税率は各人の所得額により5% ~ 45%になります(詳しくはこちら)。住民税率は一律10%です。復興税率は所得税額の2.1%です。
ふるさとの納税の上限額は、以下から構成されています。
- 所得税の控除
- 住民税(基本部分)の控除
- 住民税(特例部分)の控除(← ここが一番重要)
- 自己負担額(2,000円)
所得税、住民税から控除されるのですが、各項目で控除額の上限があります。
ここで注目すべき項目は住民税(特例部分)の控除です。理由は、1. 所得税の控除、2. 住民税(基本部分)の控除は総所得の30%~40%と上限額が大きいのですが、3. 住民税(特例部分)の控除は個人住民税所得割額(住民税額とほぼ同じと考えてください)の20%と上限が低いのでここがまず最初に上限に達してしまうからです。
例えば、総所得が600万円の人の場合、所得税の控除限度は600万円×40%=240万円、住民税(基本部分)は600万円×30%=180万円ですが、住民税(特例部分)は600万円×10%(住民税率)×20%=12万円になるからです。
以上のことから、住民税(特例部分)の控除額が、住民税(特例部分)の上限である個人住民税所得割額×20%と一致する値がふるさと納税の上限額になります。ふるさと納税の限度額を計算する目的においては住民税(特例部分)の控除以外は考慮する必要ないです。
ふるさと納税の限度額の計算式は、住民税(特例部分)の控除計算式とその上限額の関係から以下の通りです。
(ふるさと納税額 – 2,000円)×(100% - 10% - 所得税率×復興税率(1.021))= 個人住民税所得割額×20%
これを展開してふるさとの納税の寄附限度額を求めると以下になります。

FXの利益でいくら控除額が増えるか
ふるさと納税の寄附限度額の式がわかったところで、これをFXに当てはめてみたいと思います。
FXによる個人住民税所得割額は、FXの利益×住民税率(5%)であるため、給与所得がある前提にするとFXの利益によるふるさと納税の限度額の増加分は以下の式で求めることができます。

例:年収700万円(所得税率20%)、FX利益100万円の場合
100万円×5%×20% ÷ 100%-10%-20%×1.021
= 1万円 ÷ 69.58%
= 14,371円 ← FXで増加するふるさと納税の限度額
しかしながら、FXの利益でいくら控除額が増えるのかを計算するには自分の所得税率が分からないと計算できません。所得税率は課税所得が分からないと求めることはできません。
自分の課税所得をもとめる簡単な方法は昨年度の源泉徴収票を見ることです。年収が大きく変動する方はeTaxの使って確認することもできます。
所得税率は国税庁のサイトから確認できます。税率は以下の通りです(右側の控除額は今は無視してください)。

源泉徴収票で確認する方法
年収、家族構成が大きく変わらない方は前年度の源泉徴収票を確認するのが早いです。
課税所得の計算方法は、下図の源泉徴収票の ①給与所得控除後の金額 から ➁所得控除の額の合計額を控除すると求められます。ここから求めた課税所得を上の所得税率の表に当てはめてください。

eTaxで確認する方法
年収、家族構成が変わる方はeTaxにて確認する方法が良いでしょう。
まずは確定申告作成コーナーから必要な項目を入力して申告書の提出の前まで進んでください。申告書のドラフトができた段階で申告書の①所得の合計から②控除の合計+雑損控除+医療費控除の合計を控除した額が課税所得の額になります。
ここから求めた課税所得を上の所得税率の表に当てはめてください。

ラフな計算でもよい方法
源泉徴収票やeTaxから所得税率を求めるの方法は非常に面倒です。もっとラフな計算でもよい方は以下の計算で上限額の増加を把握してください。
FXの利益で増加するふるさと納税の限度額 = FXの利益 × 1%
解説します。ふるさと納税の上限額の計算式は以下の通りです。

ここで注目するのは分子のFX利益×5%×20%です。
分母の所得税率が分からなくても分母は計算式から100%を超えることはないので、限度額が分子のFX利益×5%×20%より少なくなることはありません。よって、FX利益×5%×20%分は最低でも増加することになります。FX利益×5%×20%を計算する以下が成り立ちます。
FXの利益 × 住民税率5% × 20%
= FXの利益 × 1%
例:年収700万円(所得税率20%)、FX利益100万円の場合
100万円×5%×20%
= 1万円 ← FXで増加するふるさと納税の限度額
厳密な計算と比べると増加する限度額が少なく計算されるケースがほとんどだと思いますが、私は細かい計算が面倒なのでこの方法で把握することにしています。
まとめ
まとめです。
・ふるさと納税の増加する限度額は以下の式で計算する

・計算が面倒な場合は、最低でもFXの利益 × 1%が増加額と理解する
今回はふるさと納税について解説しました。個人的にはFXの利益×1%を目安にふるさと納税するのが簡単、かつ上限額へのバッファもあり安全でおすすめです。
注意:正確な税金の計算・相談については税理士にご確認ください。
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