今回はあまり聞きなれないテクニカル指標であるMFI(Money Flow Index)です。価格だけではなく相場のTick数(本来は出来高がいいのですがFXでは出来高が分からないためTick数になります)を考慮して資金の流入量からトレードを有利にできるか検証します。
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MFIとは
MFI(Money Flow Index)は、オシレータータイプのテクニカル指標であり、出来高と価格を組み合わせて市場の売買圧力を評価します。MFIは、相対力指数(RSI)に似ていますが、出来高の要素が追加されている点が異なります。これは、売られすぎや買われすぎの状態を判断するのに役立ち、特にトレンドの転換点を見つけるために使用されます。詳しくはこちらを参照ください。
株では下落の最終局面で出来高を伴うケースをセリング・クライマックスといい、出来高急増後に反転上昇するケースがよくあります。FXでもこれができたらより有利にトレードできそうですよね。しかし、株と違いFXの場合出来高が分からないのでTick数を使用してMFIを算出していますので、このあたりがどう出るか気になりますね。
トレード戦略
トレード戦略は以下の2つで行います。
20% – 80%トレード
このトレードはMFIが80%以上を買われすぎ、20%以下を売られすぎと認識し、逆張りを行います。エントリーは80%以上あったMFIが80%を下回った時に売り、20%以下だったMFIが20%を上回った時に買いを行います。
トレンドフォロー
MFIが上昇しているときは上昇トレンドと認識し買いエントリー、MFIが下降しているときは下降トレンドと認識し売りエントリーを行うものがあります。順張り戦略になります。
なお、MFIの計算期間はデフォルトの14を使用します。
検証の前提(20% – 80%トレード)
検証はMT4のEAを利用して行います。(MT4はメタトレーダー4というソフトで、一定のロジックに基づく自動売買のバックテストができます。EAはエキスパートアドバイザーでMT4の自動売買プログラムのことです。興味がある方はこちらからダウンロードしてみてください)
テスト条件は以下の通りです。
- 検証期間:2019/01/01 – 2024/08/31
- 通貨ペア:ドル円
- 初期証拠金:10,000
- 取引ロット:0.1
- MFIの期間:14
- タイムフレーム:5分、15分、1時間、4時間、1日
- 買いエントリー条件:20%以下だったMFIが20%を上回った時に買いエントリー
- 売りエントリー条件:80%以上あったMFIが80%を下回った時に売りエントリー
- 決済条件:エントリー価格に0.5%を乗じた額をエントリー価格の上下に設定し利確、損切りラインとする(例:エントリー価格が100円の場合、100円×0.5%=0.5円のため、利確ラインは100円+0.5円=100.5円、損切りラインは100円-0.5円=99.5円)
- 備考:エントリー判定はローソク足が確定した段階で行います。また、保有ポジションを決済するまで次のポジションは持ちません。
検証結果(20% – 80%トレード)
結果は以下の通りです。4時間がプラス、5分、15分、1時間、1日がマイナスでした。
- 取引数:テスト期間に発生した総取引数。エントリーから決済で1つとカウントします。
- 勝率:勝トレード数 ÷ 総トレード数。
- 純益:最終利益額
- PF(プロフィットファクター):総利益 ÷ 総損失。PFが1以上であれば、トレード全体として利益が出ていることを意味し、1未満であれば損失になっていることを示します。目安としては1.5以上が良いでしょう。
- 期待利得:総損益 ÷ 総取引数
- 最大DD(ドローダウン):資産価値がピークからどれだけ下落したかを示します。具体的には、トレード期間中で最も大きな累積損失(資産価値の減少幅)を測定します。最大DDは、投資やトレードにおいて資金が一時的にどの程度減少する可能性があるかを理解するのに役立ちます。
今回の検証結果らMFIの逆張りは全く使い物にならないですね。特に5分足の2022年は月間で一度もプラス損益にならず-3,684 pipsでした(下図参照)。
発行済み株式総数が決まっている株と異なり、FXの場合は取引量が増えても反転することなくトレンド方向に延びていくようです。
検証の前提(トレンドフォロー)
MFIのトレンドを見るには、12本前の足、8本前の足、4本前の足、1本前の足の並びで判断します。具体的には、12本前のMFI< 8本前のMFI< 4本前のMFI< 1本前のMFIとなった場合に買いエントリー、12本前のMFI> 8本前のMFI> 4本前のMFI> 1本前のMFIとなった場合に売りエントリーします。
売りエントリーの例(買いは 12 < 8 < 4 < 1でエントリー)
テスト条件は以下の通りです。
- 検証期間:2019/01/01 – 2024/08/31
- 通貨ペア:ドル円
- 初期証拠金:10,000
- 取引ロット:0.1
- MFIの期間:14
- タイムフレーム:5分、15分、1時間、4時間、1日
- 買いエントリー条件:12本前のMFI< 8本前のMFI< 4本前のMFI< 1本前のMFIで買いエントリー
- 売りエントリー条件:12本前のMFI> 8本前のMFI> 4本前のMFI> 1本前のMFIで売りエントリー
- 決済条件:エントリー価格に0.5%を乗じた額をエントリー価格の上下に設定し利確、損切りラインとする(例:エントリー価格が100円の場合、100円×0.5%=0.5円のため、利確ラインは100円+0.5円=100.5円、損切りラインは100円-0.5円=99.5円)
- 備考:エントリー判定はローソク足が確定した段階で行います。また、保有ポジションを決済するまで次のポジションは持ちません。
検証結果(トレンドフォロー)
結果は以下の通りです。5分、15分、1時間、1日でプラス、4時間でマイナスでした。
取引数、PF、期待利得、最大DDを総合的に検討すると、15分足が最も良い成績でした。MACDの時もそうでしたが、トレンドを早くつかめれば利益を伸ばすことができますね。
以下が15分足での損益になります。
まとめ
- MFIの20%-80%戦略(逆張り)で利益を出すことは難しい
- MFIのトレンドフォロー(順張り)では15分足が最も利益出せる
- 発行済み株式総数が決まっている株と異なり、FXでは取引量からトレンドの反転を見分けるの難しい。むしろ取引量が伴ったほうがトレンドを形成する。
今回はあまり使わないMFIを取り上げました。逆張りは全くダメでしたが、順張り戦略では利用を検討する余地はあるかと思います。
注意:今回の結果は特定のパラメータ、期間等による結果であり将来においても結果を保証するものではありません。投資は自己の判断で実施してください。
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