ドンチャンチャネルは有効かデータ検証【おすすめ度:80%】

検証

今回はドンチャンチャネル(Donchian Channel)を検証したいと思います。
ドンチャンチャネルは見た目はボリンジャーバンドやエンベロープに似ていますが、中身は一定期間の最高値と最安値を表示するシンプルなインジケーターです。

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ドンチャンチャネルとは

ドンチャンチャネルは、主にトレンドフォロー型のトレード戦略やブレイクアウト手法で利用される、シンプルながら強力なテクニカル指標です。米国のリチャード・ドンチャン氏によって開発されたこのチャネルは、設定した期間内の最高値と最安値を示すことにより、トレンドの方向性を捉えます。
設定する期間は20が推奨されていますので、今回は20で検証します。

ドンチャンチャネルは、以下のラインで構成されます

上限(Upper Channel):直近 n 日間の最高値を結んだラインです。このラインは価格が最高値を更新することで上に移動し、価格が最高値を更新しない限り一定の位置に保たれます。
下限(Lower Channel):直近 n 日間の最安値を結んだラインです。上限と同様に、価格が最安値を更新しない限り、一定の位置にとどまります。

下図の例では期間20の最高値の推移が上限、期間20の最安値の推移が下限になります。

ドンチャンチャネルは、トレンドが発生している時に有効で、上昇トレンド時には上限ラインが上昇を続け、下限ラインも徐々に上がっていきます。この状態で、価格が上限ラインの近くにある場合は強気のトレンドを示していると考えられます。同様に、下降トレンド時には、下限ラインが下降を続け、上限ラインも下がるため、価格が下限ラインの近くにあるときは弱気のトレンドと判断できます。

トレード戦略

ドンチャンチャネルを活用したトレード戦略は、価格が一定期間内の最高値や最安値を更新したときにトレンドが発生していると判断し、その流れに沿ってエントリーするシンプルな方法です。

買いエントリー条件:価格が上限に達したら、上昇トレンドの始まりとみなし、買いエントリー
売りエントリー条件:価格が下限に達したら、下降トレンドの始まりとみなし、売りエントリー

検証の前提

検証はMT4のEAを利用して行います。(MT4はメタトレーダー4というソフトで、一定のロジックに基づく自動売買のバックテストができます。EAはエキスパートアドバイザーでMT4の自動売買プログラムのことです。興味がある方はこちらからダウンロードしてみてください)

テスト条件は以下の通りです。

  • 検証期間:2019/01/01 – 2024/10/31
  • 通貨ペア:ドル円
  • 初期証拠金:10,000ドル
  • 取引ロット:0.1
  • ドンチャンチャネルの期間:20
  • タイムフレーム:5分、15分、30分、1時間、4時間、1日
  • 買いエントリー条件:価格がドンチャンチャネルの上限に達したら買いエントリー
  • 売りエントリー条件:価格がドンチャンチャネルの下限に達したら売りエントリー
  • 決済条件:エントリー価格に0.5%を乗じた額をエントリー価格の上下に設定し利確、損切りラインとする(例:エントリー価格が100円の場合、100円×0.5%=0.5円のため、利確ラインは100円+0.5円=100.5円、損切りラインは100円-0.5円=99.5円)
  • 備考:エントリー判定はローソク足が確定した段階で行います。また、保有ポジションを決済するまで次のポジションは持ちません。

検証結果

検証結果は以下の通りです。5分、15分、30分、1時間、4時間、1日のすべてでプラスとなりました。

  • 取引数:テスト期間に発生した総取引数。エントリーから決済で1つとカウントします。
  • 勝率:勝トレード数 ÷ 総トレード数
  • 純益:最終利益額
  • PF(プロフィットファクター):総利益 ÷ 総損失。PFが1以上であれば、トレード全体として利益が出ていることを意味し、1未満であれば損失になっていることを示します。目安としては1.5以上が良いでしょう。
  • 期待利得:総損益 ÷ 総取引数
  • 最大DD(ドローダウン):資産価値がピークからどれだけ下落したかを示します。具体的には、トレード期間中で最も大きな累積損失(資産価値の減少幅)を測定します。最大DDは、投資やトレードにおいて資金が一時的にどの程度減少する可能性があるかを理解するのに役立ちます。

高いPFではないのですが、全体的に取引回数があるので純益が残ったようです。
勝率、PF、期待利得等を総合的に判断すると、1時間が最も良い成績だと思います。

それでは、1時間の損益内容を確認していきます。

2019年、2021年はマイナスですが、2020年は1025pips、2022年は2713pipsと利益の振れ幅は大きいようです。検証方法として一定額で利確を行うため、これまでの検証では利確した後、次の条件が整うまでエントリーしないのですが、ドンチャンチャネルの場合、高値を更新し続けている限りすぐに次のエントリーするので利益を伸ばせているのだと思います。

下の例では、長い上昇トレンドで利確が入っても高値を更新しているためすぐに次のポジションを取り5連勝しています。

上はMT4のトレードチャートになります。見えにくいですが青い点がエントリー、青い点線の終点がクローズです。青い点線が右肩上がりなら利益、右肩下がりなら損失です。青い点の上下にある赤く短い線は利確・損切りラインです。

まとめ

まとめです。

  • ドンチャンチャネルで利益を出すことは可能
  • トレンド形成時の利益を最後まで取ることができる
  • レンジ相場が続く場合、大きな利益は取れない

積極的に使う人はいなと思われるドンチャンチャネルでしたが、意外と好成績でした。トレンドを早く掴んで利益を伸ばす、読みがハズレたら素早く損切りする、というやり方を忠実に再現できるインジケーターでした。

注意:今回の結果は特定のパラメータ、期間等による結果であり将来においても結果を保証するものではありません。投資は自己の判断で実施してください。

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