ボリンジャーバンドは有効かデータ検証【おすすめ度:60%】

検証

テクニカルのインジケーターで移動平均線が有名ですが、ボリンジャーバンドも同じくらい有名ですよね。ボリンジャーバンドは2σ、3σで逆張りというのが戦略としてよくありますね。今回はそんなボリンジャーバンドついてデータで検証したいと思います。

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ボリンジャーバンドとは

ボリンジャーバンド(Bollinger Bands)は、過去の価格を統計的に計算して価格の変動範囲やボラティリティを視覚的に把握する指標です。具体的には、±2σ、±3σ(σはシグマと読みます)という過去の値動きの統計的基準をもとに異常値を認識する手法です。ボリンジャーバンドについて詳しくはこちらを参照ください。

下の図は、外側の青い線が±3σ、内側の黄色い線が±2σの線になります。

2σ、3σの意味

ボリンジャーバンドの設定でσ(シグマ)という単語がでてきますが、こちらについて説明します。

σ(シグマ)は標準偏差のことで、過去の一定期間について価格が移動平均からどれだけ変動しているかを表しています。価格変動について正規分布を仮定した場合、σには以下の意味があります。

  • ±1σの間に68.26%の確率で価格が収まる
  • ±2σの間に95.44%の確率で価格が収まる
  • ±3σの間に99.74%の確率で価格が収まる

具体的に、下図のドル円チャートで見てみましょう。

上図のドル円チャートの赤い線の2σ、3σ、移動平均でのドル円価格は以下の通りです。

-3σ-2σ移動平均+2σ+3σ
141.611141.981142.720143.459143.829

こちらを先ほどの正規分布に当てはめると以下になります。

±3σを例にとると、過去の価格推移から141.611円から143.829円の間に価格が収まる確率が99.74%になります。確かに、ドル円チャートをみるとほとんどの価格が±3σに収まっているように見えますね。99.74%の確率で141.611円から143.829円の範囲で収まるなら、±3σで逆張りはかなり有力な戦略になりそうです。

検証の前提

検証はMT4のEAを利用して行います。(MT4はメタトレーダー4というソフトで、一定のロジックに基づく自動売買のバックテストができます。EAはエキスパートアドバイザーでMT4の自動売買プログラムのことです。興味がある方はこちらからダウンロードしてみてください)

テスト条件は以下の通りです。

  • 検証期間:2019/01/01 – 2024/08/31
  • 通貨ペア:ドル円
  • 初期証拠金:10,000
  • 取引ロット:0.1
  • バンドの期間:20
  • タイムフレーム:5分、1時間、4時間、1日
  • 買いエントリー条件:価格が-3σを下回ったら買いエントリー
  • 売りエントリー条件:価格が+3σを上回ったら売りエントリー
  • 決済条件:エントリー価格に0.5%を乗じた額をエントリー価格の上下に設定し利確、損切りラインとする(例:エントリー価格が100円の場合、100円×0.5%=0.5円のため、利確ラインは100円+0.5円=100.5円、損切りラインは100円-0.5円=99.5円)
  • 備考:エントリー判定はローソク足が確定した段階で行います。また、保有ポジションを決済するまで次のポジションは持ちません。

簡単に言うと、下のバンドを抜けたら買い上のバンドを抜けたら売り利確・損切りは上下同じ値幅で設定、です。

検証結果

検証結果は以下の通りです。1時間足と4時間足がプラス5分足と日足がマイナスになっていますね。この結果は移動平均線と検証と同じ結果ですね。

  • 取引数:テスト期間に発生した総取引数。エントリーから決済で1つとカウントします。
  • 勝率:勝トレード数 ÷ 総トレード数。
  • 純益:最終利益額
  • PF(プロフィットファクター):総利益 ÷ 総損失。PFが1以上であれば、トレード全体として利益が出ていることを意味し、1未満であれば損失になっていることを示します。目安としては1.5以上が良いでしょう。
  • 期待利得:総損益 ÷ 総取引数
  • 最大DD(ドローダウン):資産価値がピークからどれだけ下落したかを示します。具体的には、トレード期間中で最も大きな累積損失(資産価値の減少幅)を測定します。最大DDは、投資やトレードにおいて資金が一時的にどの程度減少する可能性があるかを理解するのに役立ちます。

取引回数、PF、期待利得、最大DDあたりを総合的にみると、4時間足の成績が良さそうです。ただエントリー回数が少ないので、エントリーが回数が多い1時間足もよいと思います。実際に使えるか月別損益(pips)も見てみましょう。

4時間足の月別損益推移(pips)は以下の通りです。取引がない月も多く、年度でマイナスもあり、ちょっとこのままのルール(±3σ逆張り)にもとづいてトレードを行うのは微妙ですね。

同じくプラスで終わった1時間足の月間損益推移(pips)は以下の通りです。こちらもマイナスとなっている年度があり、特に2022年、2023年は連続のマイナスになっていて2022年からこの戦略でトレードを始めると証拠金が尽きてしましそうです。よって、このままルールにもとづいて1時間足3σ逆張りを行うのも微妙ですね。

まとめ

今回の結果から以下のことが言えるのではないでしょうか。

  • ボリンジャーバンドの±3σの逆張り戦略で利益を出すことは可能である。ただしタイムフレームについては検証する必要がある。
  • 年度でマイナスとなっているものもあり、相場環境(トレンド相場かレンジ相場か)に左右されるので環境認識と合わせて実施する必要がある。

ボリンジャーバンドの±3σの逆張り戦略を検証してみました。1時間足、4時間足では利益ができましたが、今一つ安定感に欠けましたね。

追記:ボリンジャーバンドの±3σのトレンドフォロー戦略(順張り戦略)についてもこちらで検証しました。

因みに、±2σ逆張りについても検証しました。こちらは±3σ逆張りよりかなり成績が悪かったです。簡単に結果だけご紹介しておきます。

注意:今回の結果は特定のパラメータ、期間等による結果であり将来においても結果を保証するものではありません。投資は自己の判断で実施してください。

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