今回はパラボリックSARを検証します。
こちらインジケーターを利用している方はかなり少ないと思いますが、利用価値があるかどうか見ていきましょう。
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パラボリックSARとは
パラボリックSAR(Parabolic Stop and Reverse)は、トレンドフォロー型のテクニカル指標で、価格の動きを追跡しながらトレンドの転換ポイントを視覚的に示すために使用されます。この指標は、トレンド方向の確認や損切りラインの設定に役立ちます。
パラボリックSARの特徴
1.ドット表示
パラボリックSARは、ローソク足の上または下に点(ドット)として描かれます。
ドットが価格の上にある場合:下降トレンドを示唆
ドットが価格の下にある場合:上昇トレンドを示唆
2.トレンドの追随
トレンドが継続している間、SARの位置は価格に近づきます。この動きは「追随型」であり、トレンドが強い場合、価格からSARまでの距離は短くなります。
3.反転シグナル
価格がSARに接触または突き抜けると、トレンドが反転するシグナルとされます。たとえば、SARが価格の下から上に切り替わると、上昇トレンドから下降トレンドへの反転が示唆されます。
計算方法
SARは次の計算式で動きます
SAR = 前回のSAR + AF × (EP − 前回のSAR)
EP(極値ポイント): トレンド中の最高値または最安値
AF(加速係数): トレンドが続くと増加する係数(通常は0.02からスタート)
前回のSAR: 1つ前の日のSAR値
計算式だけだと意味が分かりにくいですが、SARは価格を追いかける点(ドット)です。この点は、トレンドが続く限り、価格にどんどん近づいていきます。そして、SARが価格に追いついたとき、トレンドが反対方向に変わるサインが出ます。
トレード戦略
エントリーはSAR値が反転したタイミングです。
買いエントリー:SARの位置が価格の上から下に反転したら買いエントリー
売りエントリー:SARの位置が価格の下から上に反転したら売りエントリー
検証の前提
検証はMT4のEAを利用して行います。(MT4はメタトレーダー4というソフトで、一定のロジックに基づく自動売買のバックテストができます。EAはエキスパートアドバイザーでMT4の自動売買プログラムのことです。興味がある方はこちらからダウンロードしてみてください)
テスト条件は以下の通りです。
- 検証期間:2019/01/01 – 2024/10/31
- 通貨ペア:ドル円
- 初期証拠金:10,000ドル
- 取引ロット:0.1
- AF数:0.02
- タイムフレーム:5分、15分、30分、1時間、4時間、1日
- 買いエントリー条件:SARの位置が価格の上から下に反転したら買いエントリー
- 売りエントリー条件:SARの位置が価格の下から上に反転したら売りエントリー
- 決済条件:エントリー価格に0.5%を乗じた額をエントリー価格の上下に設定し利確、損切りラインとする(例:エントリー価格が100円の場合、100円×0.5%=0.5円のため、利確ラインは100円+0.5円=100.5円、損切りラインは100円-0.5円=99.5円)
- 備考:エントリー判定はローソク足が確定した段階で行います。また、保有ポジションを決済するまで次のポジションは持ちません。
検証結果
検証結果は以下の通りです。1時間、4時間がプラス、5分、15分、30分、1日がマイナスでした。
- 取引数:テスト期間に発生した総取引数。エントリーから決済で1つとカウントします。
- 勝率:勝トレード数 ÷ 総トレード数
- 純益:最終利益額
- PF(プロフィットファクター):総利益 ÷ 総損失。PFが1以上であれば、トレード全体として利益が出ていることを意味し、1未満であれば損失になっていることを示します。目安としては1.5以上が良いでしょう。
- 期待利得:総損益 ÷ 総取引数
- 最大DD(ドローダウン):資産価値がピークからどれだけ下落したかを示します。具体的には、トレード期間中で最も大きな累積損失(資産価値の減少幅)を測定します。最大DDは、投資やトレードにおいて資金が一時的にどの程度減少する可能性があるかを理解するのに役立ちます。
最大DDは高めですが、全般的にPFも1付近が多く可もなく不可もなくといった感じでしょうか。PFが1付近だと相場環境によってはプラスにもマイナスにも振れる可能性があるので注意が必要です。PF、期待損益、最大DD等を総合的に判断すると、4時間が最も成績が良かったですね。
4時間の損益推移を見てみましょう。
年度で見ると2024年は大きく負けていますが、それ以外はまずまず安定しているよう見えます。しかし、月別損益でマイナスとなる月も多く、実際にこの戦略でトレードを行っているとストレスがたまりそうですね。
まとめ
まとめになります。
- パラボリックSARで利益を出すことは可能
- パラボリックSARは4時間での運用が最も好成績
- プロフィットファクターは1近辺が多く相場環境によっては検証結果と逆になる可能性もある
今回はパラボリックSARを検証してみました。SARの点の位置でトレンド変換を見るという視覚的に非常に分かりやすいインジケーターでしたが、実運用するには不安がある結果でしたね。
注意:今回の結果は特定のパラメータ、期間等による結果であり将来においても結果を保証するものではありません。投資は自己の判断で実施してください。
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