今回は、エンベロープをデータ検証していきます。エンベロープもあまり利用されることはない指標ですが、ボリンジャーバンドと似たテクニカル指標なのでボリンジャーバンドとどちらが有効か検証したいと思います。ボリンジャーバンドのデータ検証はこちら。
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エンベロープとは
エンベロープ(Envelopes)は、移動平均線を基に価格の上下にバンドを設け、そのバンド幅を特定のパーセンテージで設定するテクニカル指標です。一般的な設定値としては、移動平均線からの乖離率を 2〜3% に設定することが多いようです。ただし、この辺りは適用してるタイムフレームによって変更したほうが良いです。詳しくはこちらを参照ください。
エンベロープの形状はボリンジャーバンドと類似していますが、一般的に両者には以下の違いがあります。
特徴 | エンベロープ | ボリンジャーバンド |
バンドの計算方法 | 移動平均線から固定の乖離率 | 移動平均線から標準偏差でバンド幅を計算 |
バンド幅 | 一定 | 価格のボラティリティに応じて変動 |
使用目的 | 価格の範囲を予測し、逆張りに使用 | ボラティリティの変動やトレンド転換を捉える |
適した相場 | レンジ相場 | トレンド相場およびボラティリティの変化 |
エンベロープの場合、移動平均線からの固定の乖離率というシンプルな構造のため非常に分かりやすいですが、タイムフレームによってボラティリティが異なるため、そのまま設定した乖離率を適用するとうまく機能しないです。例えば5分足と日足の場合、それぞれのローソク足のボラティリティが異なるので(5分足より日足のほうがローソク足1本あたりの変動が大きい)、仮に日足でエンベロープ幅を±2%と設定しても、5分足で幅が広すぎて機能しないということが起きます。
以下は、5分足と日足でのエンベロープ1%の幅になります。
トレード戦略
今回は上述の通りタイムフレームでエンベロープ幅によるタッチ頻度の差があるので、タイムフレームは1時間足で固定して行います。
トレード戦略としてはエンベロープへタッチした時点での逆張り、順張りのそれぞれを検証した後、ボリンジャーバンドとも比較します。
検証の前提(逆張り)
検証はMT4のEAを利用して行います。(MT4はメタトレーダー4というソフトで、一定のロジックに基づく自動売買のバックテストができます。EAはエキスパートアドバイザーでMT4の自動売買プログラムのことです。興味がある方はこちらからダウンロードしてみてください)
テスト条件は以下の通りです。
- 検証期間:2019/01/01 – 2024/08/31
- 通貨ペア:ドル円
- 初期証拠金:10,000
- 取引ロット:0.1
- エンベロープの幅:0.25%、0.5%、0.75%、1%
- エンベロープの期間:14
- タイムフレーム:1時間
- 買いエントリー条件:価格がエンベロープを下回ったら買いエントリー
- 売りエントリー条件:価格がエンベロープを上回ったら売りエントリー
- 決済条件:エントリー価格に0.5%を乗じた額をエントリー価格の上下に設定し利確、損切りラインとする(例:エントリー価格が100円の場合、100円×0.5%=0.5円のため、利確ラインは100円+0.5円=100.5円、損切りラインは100円-0.5円=99.5円)
- 備考:エントリー判定はローソク足が確定した段階で行います。また、保有ポジションを決済するまで次のポジションは持ちません。
検証結果(逆張り)
結果は以下の通りです。エンベロープ幅が0.75%、1%でプラス、0.25%、0.5%でマイナスでした。
- 取引数:テスト期間に発生した総取引数。エントリーから決済で1つとカウントします。
- 勝率:勝トレード数 ÷ 総トレード数。
- 純益:最終利益額
- PF(プロフィットファクター):総利益 ÷ 総損失。PFが1以上であれば、トレード全体として利益が出ていることを意味し、1未満であれば損失になっていることを示します。目安としては1.5以上が良いでしょう。
- 期待利得:総損益 ÷ 総取引数
- 最大DD(ドローダウン):資産価値がピークからどれだけ下落したかを示します。具体的には、トレード期間中で最も大きな累積損失(資産価値の減少幅)を測定します。最大DDは、投資やトレードにおいて資金が一時的にどの程度減少する可能性があるかを理解するのに役立ちます。
1時間足においては1%が最も成績が良かったです。しかし、取引数が少なくややデータの信頼性は欠けるかもしれません。月別の損益も見てみましょう。
2023年以外はプラスで終わっており比較的安定しています。ただし、何といっても取引数が少なく、2021年は一度もトレードが発生しませんでした。もう少し取引数が増えるようであれば使えるかもしれませんね。
検証の前提(順張り)
つづいて順張りです。テスト条件は以下の通りです。
- 検証期間:2019/01/01 – 2024/08/31
- 通貨ペア:ドル円
- 初期証拠金:10,000
- 取引ロット:0.1
- エンベロープの幅:0.25%、0.5%、0.75%、1%
- エンベロープの期間:14
- タイムフレーム:5分、1時間、4時間、1日
- 買いエントリー条件:価格がエンベロープが上回ったら買いエントリー
- 売りエントリー条件:価格がエンベロープが下回ったら売りエントリー
- 決済条件:エントリー価格に0.5%を乗じた額をエントリー価格の上下に設定し利確、損切りラインとする(例:エントリー価格が100円の場合、100円×0.5%=0.5円のため、利確ラインは100円+0.5円=100.5円、損切りラインは100円-0.5円=99.5円)
- 備考:エントリー判定はローソク足が確定した段階で行います。また、保有ポジションを決済するまで次のポジションは持ちません。
検証結果(順張り)
検証結果は以下の通りです。エンベロープ幅が0.25%でプラス、0.5%、0.75%、1%でマイナスでした。
順張りの場合はエンベロープ幅は0.25%が最も成績が良かったですが、他は使えないですね。月別の損益も確認していきましょう。
前半はあまり変動がありませんでしたが、2022年以降はうまくトレンドをつかんで利益を伸ばせています。エンベロープはレンジ相場向きのテクニカル指標と言われますが、順張りでも利益をのばせる場合はあるようですね。
ボリンジャーバンドとの比較
エンベロープと似たテクニカル指標のボリンジャーバンドとも成績を比較したいと思います。上段がエンベロープ1時間足逆張りの結果、下段がバリンジャーバンド±3σ逆張りの結果です。
エンベロープは1時間足1%の成績が良く、ボリンジャーバンドは4時間足の成績が良いです。どちらが有利とは一概には言えない結果ですね。エンベロープも知名度が低い割にはボリンジャーバンドと引けを取らないパフォーマンスを出す可能性は十分あると言えます。
まとめ
今回の結果から以下のことが言えるのではないでしょうか。
- 1時間足のエンベロープの逆張り戦略、順張り戦略で利益を出すことは可能である。ただし、エンベロープ幅については検証する必要がある。
- 最も成績の良い戦略を比較すると、エンベロープとボリンジャーバンドの戦略のどちらが有利であるということは言えなかった。
注意:今回の結果は特定のパラメータ、期間等による結果であり将来においても結果を保証するものではありません。投資は自己の判断で実施してください。
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